グランドプリンセス号、メキシコ航路後に下船した乗客2500名のその後は?

2020年3月11日アメリカ生活coronavirus,cruise,grandprincess,グランドプリンセス,クルーズ,コロナウイルス,パンデミック

【更新】21人の感染が判明、そして全員の検査も決定 こちらの更新記事もご覧ください。

クルーズ船グランドプリンセス号は、現在アメリカ、サンフランシスコ沖にてコロナウイルス検査の結果待ちをしており、この検査待ちについての報道ばかりがベイエリアでは流れています。(アメリカ現地時間6日午後に検査結果が判明しました)

メキシコ航路の乗客達は未検査で下船

このハワイ帰りの航路について、検査、隔離しているのは望ましいことですが、同クルーズ船が既に2月21日にサンフランシスコ港へ到着した際に下船した、サンフランシスコ港とメキシコ間の同クルーズ船乗客約2500名がその後どうなっているのかについては、大っぴらにはあまりされていません。

このグランドプリンセス号は、サンフランシスコ港を11日に出発後、メキシコで複数個所に止まった後に21日サンフランシスコへ戻りました。ハワイへ引き続き乗船する62人以外の乗客を降ろし、ハワイ航路に参加する乗客を新たに乗せて(乗客計2,422名、乗員1,111名)、港へ入った同日にハワイへ旅立ちました。

ロサンゼルスタイムズによると、メキシコクルーズ後に下船した約半数はカリフォルニア州内から参加したと見られています。

人口が4,000万人弱もいるカリフォルニア州において、下船した千数百人が検査も何もされないまま生活することになって数週間です。残りの乗客においても、他州へ飛行機等の交通機関を利用して帰宅したものと考えられます。

感染しても症状が酷くならない場合も多々あるコロナウイルスとあって、この約2,500名のクルーズ船乗客の行動如何によっては、多くのクラスターがもたらされると予想されます。現在、毎日のように新たなコロナウイルス感染患者の報道があり、どれほどがこのクルーズ船と関連があるのかは分かっていません。

グランドプリンセス号乗客のコロナウイルス感染状況

プラーサー郡 (Placer County)

3月4日発表: プラーサー郡ロックリン(Rocklin)に住む71歳の男性が、コロナウイルス感染により、ローズヴィルのカイザーパーマネンテ病院にて隔離された状況で亡くなりました。この患者には持病があり、グランドプリンセス号に乗っている間から症状があったとのことです。

これがカリフォルニア州における初の死亡事例となりました。(ローズヴィルはサンフランシスコから車で約2時間程度の距離です。) CBS San Francisco より。この病院でこの男性患者を担当した医療スタッフ、救急隊のメンバーについては検疫対象となりました。

同4日には、ニューサムカリフォルニア州知事は州の非常事態宣言を発表しました。(発表内容はこちら)

サンタクララ郡 (Santa Clara County)

3月5日発表: Sunnyvale サニーベールに住む72歳の男性が死亡し、同クルーズ船に乗船していたことから、コロナウイルスに感染したものと見られています。死亡原因については現在調査中となっています。(→コロナウイルス検査は陰性とされました)

この男性は自宅で意識が無くなり、自発呼吸も出来ない状況でした。この男性に胸部圧迫等の救命措置を施した救急隊7名への感染の可能性も挙げられています。(Mercury News より)

サンタクララカウンティは、現在カリフォルニア州でのコロナウイルス感染者数が24名と最も多い郡であり、またシリコンバレーのテック企業が多く集まるエリアでもあります。同郡では、既に旅行歴・濃厚接触者との関わりが無いコロナウイルス感染患者が出ており、市中感染が疑われています。

ソノマ郡 (Sonoma County)

3月2日、5日発表: グランドプリンセス号から下船した乗客2人の感染が2日と5日にそれぞれ判明する。二人とも、下船した後にシャトルバスに乗車してサンタローザへ向かったとのことです。ソノマ郡は非常事態宣言を発令し、コロナウイルス対策に注力するとしました。

郡内には、他にも同クルーズ船のメキシコ航路の乗客が23名おり、シャトルバスでの濃厚接触者についても併せて追っていく方針としました。(press democratより)

アラメダ郡

3月6日(現地時間)夕方、メキシコ航路に乗船していた高齢者の新型コロナウイルス感染が明らかになりました。持病を抱えていて、現在は病院に入院しており、家族については検疫が行われています。

サンフランシスコ市/郡 (San Francisco)

ここではクルーズ船からの感染患者は出てはいませんが、6日のサンフランシスコクロニクルによると、市ではグランドプリンセス号に乗船していた100名を超すメキシコ航路の乗客に対して連絡を取っており、症状が出たら病院に行くように指示しているとのことです。

ここでびっくりしたのが、100名を超えるグランドプリンセス号の乗客がサンフランシスコ市内に住んでいるということですね。症状が出ないからといって感染していないとは限らないので、自宅待機の指示をすべきであったのではないでしょうか。

アメリカ国内全体では?

メキシコ航路の乗客2,500名の内、少なくとも20人が新型コロナウイルス検査で陽性となっています。この人数は日を追って増えています。それ以外にも、症状が無い等で検査されない感染者がいると見られ、市中感染が広がっていることも十分考えられます。

また、アメリカでは一気に駆け上がる様に陽性患者が増加し、一週間前には124名だった陽性患者数が1,025名(3月3日から10日)と、たった一週間でこの状況です。