そろそろ我われ日本人はマグロの壊滅的な状況に気付いたほうがよい。

2018年12月21日社会マグロ, 危機, 問題

私も含めて大抵の日本人は昔からマグロが大好きだ。それはもう食文化の一つであり、切っても切り離せない。しかしどれくらいの日本人がマグロの危機を知っているだろうか。難しいことを云々言う気はない。プロでもないので詳しく知る必要もないだろう。しかし、そろそろ手遅れになるレベル(絶滅する)である。今日この記事を目にしてマグロに対する認識が変わることを切に願う。

マグロに対する日本人のごく一般的な認識

  • マグロを多く獲っている日本人はあまり獲らない外国から非難されている。
  • マグロは世界的な漁獲高増大のため近年減少傾向。
  • マグロを食べない外国人は我々日本人の食文化は理解してもらえない。

この一般的な認識が事実とどれほどかけ離れているか、皆さんよくご存知の「本マグロ(クロマグロ)」(英語ではBluefine Tuna)を例に見ていこう。

 

事実1. 太平洋、大西洋どちらもクロマグロはほぼ壊滅状態。

何もしなかったら絶滅を迎えてもおかしくない。人類がどれほどマグロを減らしてきたかご存じだろうか? 全世界における現在のクロマグロの総資源量は、マグロ漁をしなかった時期のそれのおよそ2%-3%と言われている。つまり少なくとも97%減。「減少傾向」程度ではないのである。

 

事実2.漁獲したクロマグロ全体の80%を日本人が消費。

太平洋においては日本とメキシコがクロマグロの大部分を漁獲している。しかし、メキシコが漁獲したモノの大部分は日本で消費されている。日本は「ちょっと多めに獲っている」程度ではない。

 

事実3.日本が漁獲するクロマグロの大部分(98%)は30Kg以下の幼魚。

これらの未成魚は主に養殖にまわされる。3年ほど育てた後に市場に出荷される。

いかがだろうか、「日本人の食文化を守る」、「マグロを食べたい」などとのんきなことは言っていられない。以前の3%しかいないのに未成魚を獲りまくっているのだ。たとえ今、全世界の国々がマグロ漁を止めたとしても種として以前の水準まで自力で戻れるかどうかは正直分からない。

 

RFMOと呼ばれる組織がマグロ資源の監視と保全を行っている。

その世界の水域別に合計5団体がある。日本は5団体全てに加盟。詳細は水産省のWebサイトを参照(http://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/h22_h/trend/1/t1_1_2_4.html)

その中でも太平洋西部と中部を管轄するWCPFC:「中西部太平洋まぐろ類委員会」は日本にとって最重要の組織体。ここでの合意事項に沿って各国は漁獲を調整している(といっても日本がその大部分を占める)。

 

日本はWCPFCでの合意事項を守ろうとするが

日本人は真面目だ。WCPFCの会合で合意したことは守ろうと努力する。それはいいことだ。私見だが密漁も少ないだろう。しかしだ、WCPFCで決められた漁獲枠はあまりにもぬるい。実現性という意味では意味ある目標かもしれないが、クロマグロの種の保全、回復という点から見ると真剣さが足りない。やらないよりはやったほうが良い程度のレベルだ。

また、日本人は「クロマグロを獲りたいがWCPFCのルールを守りたい」という立場なのだ。漁業という産業も守りたい。そのためことあるごとにWCPFCで漁獲枠の増大を狙ってくる。例えばクロマグロの資源総量が2.6%から3.3%程度に回復したという誤差程度の事実でもう漁獲枠の増加を提唱する(勿論、他国は反対)。

また、水産庁が発表した先日、米ハワイで開かれていたWCPFCの年次会合(12月14日閉幕)での新たな合意事項は以下だ。
国ごとに割り当てられた漁獲上限に達しなかった場合に翌年に一定程度を繰り越せるようにする。2019年の未利用分から適用し、漁獲上限の5%までを20年の漁獲枠に上乗せできるようになる。

あなたはこれまでの話を聞いて、この合意事項について「やった。マグロが少しでも多く獲れる!」と感じるか、「マグロが絶滅しかかっているのに何考えてるんだ?」と捉えるかどちらだろう。

 

救世主は完全養殖マグロ技術

完全養殖は幼魚を必要としない養殖だ。養殖で育てた成魚から卵を獲り孵化させるライフサイクルを持つ。完全養殖で出荷されたクロマグロはまだ近年市場に出まわったばかり。まだ全体の消費量の1%程度だ。しかしながらニッスイやマルハニチロといった大手も2015年以降出荷を開始しており、今後も出荷量は増加するだろう。

近代マグロWebページ(http://kindaifish.com/picture_book.html)

水産資源を守るため、クロマグロ種を絶滅させないためにも日本はこの完全養殖技術と産業にもっと投資すべきであり、政府もこの産業を政策の面からプッシュしていくべきである。

 

この記事はマグロについては初見の人にもわかるよう、簡潔に書いたつもりである。この危機的状況を少しでも多くの人にシェアしてもらえることを願う。