[無料(フリー)ビジネスモデル徹底解説] その1.DeNAの「0円タクシー」そのビジネスモデル、実は特に珍しいものではない。

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今回は「無料(フリー)ビジネスモデル徹底解説」その1.今回は初回なので軽く、最近DeNAが発表した「0円(ぜろえん)タクシー」を例に無料ビジネスモデルとは何かについて簡単に紹介します。

まずは今回のDeNAの発表について。以下DeNAのWebサイトからの引用です。

株式会社ディー・エヌ・エー(本社:東京都渋⾕区、代表取締役社長兼CEO:守安 功、以下DeNA)が提供する、次世代タクシー配車アプリ「MOV(モブ)」は、2018年12月5日(水)からの東京都内※1でのサービス開始に伴い、新たな移動体験を様々な形で実現する取り組み「PROJECT MOV」を始動しました。その第一弾として乗客の利用料金が無料となる「0円(ぜろえん)タクシー」の走行を2018年12月5日(水)より開始します。

 

ビジネスモデルは典型的な「三者間モデル」

まず第一に、使われているビジネスモデルは特に新しいものではありません。「0円タクシー」は「スポンサーとDeNA」、「タクシー会社」、「乗客」からなる典型的な「三者間モデル」と呼ばれるフリービジネスモデルです。

スポンサーとDeNAは、車内での乗客への自社商品/サービスの宣伝と引き換えにタクシー会社に広告宣伝費という名目で乗車料金の大部分を支払います。乗客は車内で試供品提供やサービスの体験を受ける代わり、乗車料金を払わなくてよいという仕組みです。

<図はDeNAウェブサイトより引用>

 

このフリーモデルから何を得るか?

  • スポンサー:自社製品の宣伝
  • DeNA:自社配車プラットフォーム「MOV」の宣伝、利用促進
  • タクシー会社:利用者の増加、配車の効率化アップ
  • 乗客(利用者): 乗車代無料

一般的にこの三者間モデルでは利用者(ここでは乗客)は代金を支払う必要がなくなるため、以前に比べ、格段の利用者増が見込めます。これまでタクシーを利用しなかった層も「タダなら配車アプリを利用するか!」と思いますよね。これによりマーケットが拡大、効率化していき、結果としてGDPを押し上げると言われています。

この三者間モデルは非常に有効で現在、マーケットの至る所で使用されています。他の三者間モデルの代表的な例として以下があります。

1.クレジットカード

  • 利用者:クレジットを手に入れること、カードを使用することは無料。時としてポイントとして還元もある。
  • 商店:決済手数料をクレジットカード会社に支払うが、顧客増が期待できる。
  • クレジットカード会社:商店より手数料を徴収

2.SNS (ソーシャルネットワーキングサービス)

  • 利用者:プロフィールの作成無料
  • 広告主:自社製品の宣伝、ユーザ情報の購入
  • SNSサイト:プラットフォームの提供。広告主からの収入

3.従来のテレビ放送

  • 視聴者:無料
  • 広告主:自社製品の宣伝(CM)
  • テレビ局:番組の制作、提供。広告主からの収入

もう一つ注目のビジネスの流れMaaS

MaaS“は”Mobility as a Service“の略で「マース」と呼ばれています。この言葉の本質を表すシンプルなフレーズとして、「人々は車を保有したいのではなく、素早く目的地に行きたいのだ。」というものがあります。つまり、以下のような考え方です。

これまで:人々は車を保有して自分で運転。

これから:人々は好きな時に最適な交通手段(ココでは配車サービス)を利用する。

そこで、重要になってくるものが配車サービスのプラットフォームです。各ユーザーはこの配車アプリをスマートフォンにインストールして利用することになります。

どの配車プラットフォームが利用されるか?世界的にはUberがトップランナーと言われますが、国別でみると覇権争いの真っただ中です。しかもこの配車サービスは先行者有利といわれています。そのため各配車プラットフォームを提供する会社はわれ先にとユーザーを囲い込もうと必死なのです。そして、最も多くのユーザーにリーチできる最良の方法の一つが無料サービスモデルです。

 

この無料サービスモデルは持続可能

今回の例について、DeNA社は本来乗客がタクシー会社に支払うべき費用のほんの一部を宣伝費名目で負担するにすぎません。大部分はスポンサーが支払います。つまりほとんど費用が掛からず続けることが出来るのです。そして続けている間、顧客への有利なアプローチ(自社配車プラットフォームへの顧客の取り込み)は続くでしょう。なんせ乗車料金タダですから。

 

このように無料モデルとは使い方次第でビジネスにとても優位に働きます。そのため、2000年代後半以降、ITの発展とともに新しい無料ビジネスモデルが次々と開発されました。次回以降、さらに詳しく無料モデルについて解説していきます。